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オカメインコさんのヘキサミタについて

今回は、オカメインコさんのヘキサミタ症についてお話します。

ヘキサミタ(Hexamita)とはスピロヌクレウス属やヘキサミタ属(Hexamita)などの寄生虫の総称で、主に、小鳥さんの小腸下部から盲腸の腸絨毛の間に寄生します。

鳩さん、オウムさん、インコさんなどの多くの鳥種に寄生しますが、特にオカメインコさんで感受性が高く、主に、スピロヌクレウス・メレアグリディス(Spironucleus meleagridis)が同定されたという報告もあります。

ヘキサミタは、非運動型のシストと、運動型のトロフォゾイトという2つの形態があります。

主な感染経路は、ごはんやお水、土壌などと一緒に、直径6〜10μmほどの楕円形で二重膜で覆われたヘキサミタの「シスト」を摂取することで感染してしまいます。

シストは小鳥さんの腸管内で発芽し、直径10μmほどの左右対称の水滴型や梨型の「トロフォゾイト」になります。

トロフォゾイトは、2つの核を持ち、細胞の表面から8本の鞭毛が生えていて、くるくると回転するスクリュー運動をしながら、液体中を泳いで移動することができます。

感染した小鳥さんの新鮮なうんちからは、トロフォゾイトが検出されますが、環境中では運動性がなくなり、シストになります。

シストは乾燥や直射日光に弱く数時間〜1日で死滅するとされていますが、20〜25度の常温の湿潤の環境で2週間ほど生きたという論文もあり、ケージの底の湿った床材などお掃除が不十分な場所、お水や挿し餌器具の使い回しなどは注意が必要です。

ヘキサミタは、腸管内にシストがあるだけの状態では無症状ですが、小鳥さんの免疫力の低下や腸内環境の悪化などに伴い、トロフォゾイトに変化すると発症します。

トロフォゾイトが小腸の粘膜細胞に付着して栄養を吸収し、腸絨毛を破壊し、

・食欲不振、食欲の低下

・沈うつ、止まり木から降りてうずくまっている、活動性の低下

・軟便や下痢

・栄養吸収不良による体重の低下、削そう

などの症状がみられます。

ヘキサミタの治療は、トロフォゾイトを駆除するお薬が主で、シストを完全に駆除するお薬はないため腸内にシストを保有していたとしても、トロフォゾイトにならないよう体調を整えながら共生していくことが多いです。

しかし、体調が悪化した時に、トロフォゾイトが増殖し、重症化するリスクがあるため、定期的な健康診断による早期発見がとても大切です。

また、日頃から、栄養バランスの取れたごはんや、清潔なお水、小鳥さんの生活環境を清潔に保つことも効果的です。

気になる症状がございましたら、できるだけ早めにご相談ください。