Column
コラム
猛禽類さんの大腸菌症
猛禽類をはじめ、鳥さんの健康診断や培養検査で大腸菌が検出されることがあります。
大腸菌は腸内に存在する細菌で、野生の鳥さんでもおうちの小鳥さんでも、腸内や環境中から分離されることがあります。
ヒトではO157、O26、O111など特定の血清型の大腸菌で特に病原性が高く、感染症法に基づき、腸管出血性大腸菌感染症の患者さんから腸管出血性大腸菌が検出された場合、保健所に届出する義務があります。
一方で鳥さんは血清型だけで病原性の強さを判断することはできません。
同じ血清型でも、強い病原性を示す株とほとんど病気を起こさない株が存在し、鳥類の大腸菌症は血清型と病原性の関連性がないという報告もあります。
型の名前だけで危険度が決まることはなく、菌が持つ病原性関連遺伝子の組み合わせや、鳥さんの体調や免疫、飼養環境などが複雑に関与するとされています。
体力が落ちているときや強いストレスがかかっているとき、外傷、寄生虫感染、栄養状態が不安定なときなどに、日和見感染が生じることがあります。
猛禽類の大腸菌症では、感染部位によって症状が異なり
・元気消失、膨羽
・食欲低下、体重減少
・未消化便、下痢軟便
・嘔吐
・開口呼吸、呼吸促迫
・テールボビング(尾の上下運動を伴う努力性呼吸)
・跛行、握力低下
・神経症状
など様々な症状がみられ、重症化すると敗血症など命に関わることもあります。
猛禽類の大腸菌症は、個体のコンディションと環境条件が重なったときに発症しやすいため、日頃から安定した温度管理、清潔な給餌管理、適切な栄養設計、過度なストレスの回避を心がけることがとても大切です。
猛禽類さんはマウスやウズラなどの給餌動物が汚染源となりやすく、また、ストレス、過度のトレーニング負荷、長期の輸送、換羽期、繁殖期などの背景があるときに大腸菌症を発症しすい傾向があり、注意が必要です。
元気、食欲、体重推移、糞便の状態、呼吸の様子など、日頃から鳥さんの体調に気をつけ、気になる症状やご心配なことがございましたら、できるだけお早めにご相談ください。