季節ごとに、小鳥さんと一緒に生活する上での注意事項をお知らせしています。
少しでも小鳥さんのことを知って、お役に立てればと思います。
「小鳥さんのPBFD」
2024.08.01
夏休み、新しく小鳥さんをお迎えする飼い主さまもいらっしゃるのではと思います。
今回は、PBFDという小鳥さんのウイルス感染症についてお話します。
PBFD(Psittacine Beak and Feather Disease 、オウム類嘴羽病)とは、オウム目に感染するウイルス感染症で、免疫不全や突然死を引き起こします。
原因ウイルスは「サーコウイルス」というDNAウイルスで、特に、セキセイインコさん、白色バタンさん、ヨウムさんで感受性が高いとされています。
ウイルスは、感染した小鳥さんの糞便やそ嚢液、羽毛、フケなどを摂食、吸引することで、お母さんや兄弟姉妹、同居の小鳥さんから感染します。
感染してから発症までの潜伏期間は、年齢、抗体、侵入したウイルス量などによって、20日前後から数年と様々です。
発症した小鳥さんの多くは半年から1年以内に死亡しますが、中には10歳以上生存したり、稀に陰転することもあります。
PBFDは発症後の症状によって、①甚急性型、②急性型、③慢性型、④キャリア型、に分けられます。
①甚急性型は、7日齢以内の初生ヒナに多く、突然死を引き起こします。
②急性型は幼鳥に、③慢性型は若鳥や成鳥に多く、羽毛異常や、食滞、食欲不振、下痢嘔吐などの消化器症状、白血球が減少して貧血などの症状が認められます。
羽毛異常とは、羽軸にねじれや血斑、羽色の脱色、羽の欠損や形の異常などが生じ、羽が抜けてしまいます。
羽毛の脱落の仕方によって、白色オウムさんに多い短羽脱落型と、セキセイインコさんに多い長羽脱落型があります。
短羽脱落型は嘴の異常や脱落、免疫低下によって命に関わることが多いとされています。
頭や体幹の短い羽が変形、脱毛し、進行すると嘴の異常や風切羽や尾羽などの長羽の変形や脱羽が生じます。
ヨウムさんや白色バタンさんでは脂粉が減少し、嘴が黒光りしたり、灰色域に赤色の羽が見られることがあります。
④キャリア型は、体内にウイルスを保有しているものの発症していない、または、病気から回復した小鳥さんを表します。
ウイルスを排出して他の小鳥さんの感染源となることがあります。
PBFDは血液のPCR検査や、異常羽毛の病理検査で診断ができます。
ペットショップやブリーダーさんでは、事前にウイルス検査をしている場合もありますので、お迎えする際に確認をしましょう。
また、小鳥さんが検査をしていない場合でも、当院でウイルス検査をすることができます。
おうちの小鳥さんに変な形の羽がある、羽がバサバサしている、など、気になる症状がある場合は、ご相談ください。