Column
コラム
ブンチョウさんの気管炎
春は昼夜の寒暖差に加え、冬の乾燥が残っており、花粉の飛散なども相まって、小鳥さんに負担がかかり体調を崩しやすい季節です。
今回ら、ブンチョウさんの気管炎についてお話しします。
小鳥さんの呼吸器の病気には、鼻腔や副鼻腔、咽頭などに炎症が生じる上部気道疾患(URTD)と、気管や肺、気嚢などに炎症が生じる下部気道疾患(LRTD)があります。
ブンチョウさんの気管炎は、URTDに続発したり、LRTDの症状の一部として生じます。
気管炎の原因は、感染性と非感染性があります。
感染性のものには、ウイルス性、細菌性、アスペルギルス、マイコプラズマ、クラミジア、キノウダニなどの寄生虫性によるものが考えられます。
また、非感染性のものには、特にオカメインコさんなどに多いシードなどのごはんの誤嚥、投薬の際の薬剤の誤嚥、有毒なガスの吸入などがあります。
ブンチョウさんの気管炎は、細菌性が多い傾向がありますが、原因不明の場合もあります。
気管炎の初期は元気や食欲低下、膨羽などの症状がみられないことも多く、急激に症状が悪化する特徴があります。
また、下記のような症状がみられます。
①呼吸の異常
・開口呼吸
・チアノーゼ、粘膜が青白い
・呼吸数の増加
・スターゲイジング(呼吸が苦しくて、星空を見上げるように上を向いて呼吸をすること)
などの症状がみられます。
痰や粘液が気管支や肺に詰まってしまうと、命に関わるリスクがあります。
②気管の症状
・乾いた咳
キャン、というような単発のものや、ケッケッという連発した咳をすることがあります。
・湿性の咳
炎症が悪化すると分泌物が出て、ゲチャゲチャとした湿性の咳に変化します。
・湿性ラ音
特にブンチョウさんでは、気管内の粘稠物質の影響で、呼吸の際に水滴が弾けるような、プチプチ音が聞こえることがあり、注意が必要です。咳と一緒に粘稠性が高い痰を排泄します。
・乾性ラ音
分泌物や痰など気管に詰まったり、炎症によって気管の粘膜が腫れ気管内腔が狭くなると、窓の隙間を風が通るような、ヒューヒュー、スースーという音が聞こえることがあります。
③鳴管の症状
小鳥さんの気管の深部には鳴管があり、外鼓状膜と内鼓状膜を空気の流れで震動させることで声を出しています。
鳴管は、閂骨、気管支、軟骨、膜、筋肉など複雑な構造によって形成されているため、細菌やカビの温床となるリスクがあります。
・変声、無声
鼓状膜の震動の障害により、声枯れ、高い声のかすれ、声質の変化が生じます。
・発声呼吸
分泌物や腫れなどが原因で鳴管の内腔がせまくなることで、キューキューなどと声を出しながら呼吸することがあります。
気管炎の呼吸器疾患の治療は、抗生物質などのお薬や、ネブライザーによる吸入治療を行います。
呼吸困難に陥ってしまった場合は、酸素吸入を行って肺換気を補助します。
乾燥する季節は、特に感染によるリスクが高いため、湿度を保ち、小鳥さんの環境を清潔に保つことがとても大切です。
わら性のおもちゃ、牧草の床材、清潔でない巣箱や止まり木やおもちゃは、URTDの原因菌の温床となってしまいます。
小鳥さんの過ごすお部屋は、こまめに清掃を行ってください。
また、毎日、新鮮なお水やごはんをあげ、生活環境をきれいに保ちましょう。
食欲、元気、うんちやおしっこの状態、小鳥さんのお鼻や顔周りはきれいか、行動に変化はないかなどを把握し、何か少しでも気になることがある場合は、すぐにご相談ください。