Column
コラム
インコさんのオウム病
先日、昨年にオウム病により妊婦さんが亡くなられたという痛ましい報道がございました。
今回は、人獣共通感染症のオウム病についてお話します。
オウム病とは、Chlamydophila psittaciというクラミジアが原因の人獣共通感染症で、日本では、ボウシインコさんで最も陽性率が高く、オカメインコさん、セキセイインコさんで感染率が高いという報告もあります。
小鳥さんだけでなく、ご家族様や、わんちゃん、ネコさんなども感染リスクがあります。
特に、ヒトのオウム病は、感染症法という法律で、届出が必要な4類感染症に規定されています。感染症法では、感染力と罹患した場合の重症度などによって、1類~5類に分類され、4類はE型肝炎や狂犬病などの、人獣共通感染症が該当します。
クラミジアは、感染した小鳥さんの糞尿、鼻水、唾液などに排泄され、これらが乾燥して空気中に舞ったり、微粒子が付着した羽毛を吸引することで、感染することが多いです。
また、クラミジア陽性の小鳥さんの排泄物で汚染されたお水やごはんを食べたり、お母さんからのさし餌でも感染することがあります。
オウム病には特有の症状がなく、
・膨羽
・食欲の低下
・体重の減少
・多飲多尿
・心不全(発生は稀)
・神経症状(けいれん、震え、後弓反張、斜頸など)
などの症状がみられることがあります。
特にセキセイインコさんには、呼吸器の症状が多く、
・鼻水やくしゃみなどの上部気道疾患(Upper Respiratory Tract Disease、URTD)
・目が赤くなる、結膜炎
・涙が増えて目の周りの被毛がべっとりする
・湿性の咳
・ハァハァゼーゼーした開口呼吸
・テールボビング(呼吸と一緒に尾が上下するような呼吸の仕方)
・スターゲイジング(星を見上げるように上を向いて呼吸すること)
・粘膜が青白くチアノーゼの状態
などの症状がみられることがあります。
また、オカメインコさんでは消化器の症状が多く、
・下痢
・黄色〜緑色の尿酸
などの症状がみられます。
潜伏期間は3日〜数週間と幅広く、なかには発症せずに無症状のまま数年間クラミジアを糞尿などに排出し続け、突然発症することもあります。
ヒトが感染すると、高熱などインフルエンザ様の症状がみられ、妊婦さんで重症化するリスクがあります、
クラミジアは体内で網様体、基本小体、と形態を変えながら増殖していきます。
形態によっては抗生剤が効かないため、長期間の抗生剤の投与が必要になります。
おうちの小鳥さんや、ご家族様をオウム病から守るためには、オウム病の小鳥さんを早期発見、隔離して、治療を行うことがとても大切です。
新しく小鳥さんをお迎えした際には、検査をご検討ください。
また、野生の鳥さんなどとの接触は避け、他の鳥さんの糞尿には触らないようにしましょう。
当院では、小鳥さんとご家族様の健康を守るため、健康診断や予防薬の処方を行っております。
ご心配なとこ、ご不安なこと等ございましたら、ご相談ください。