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季節ごとに、小鳥さんと一緒に生活する上での注意事項をお知らせしています。
少しでも小鳥さんのことを知って、お役に立てればと思います。

小鳥さんの毛引きについて

2024.04.01

桜の花が色付き、あたたかい日差しが心地よい季節となりました。
同時に、各地で花粉が飛散し、花粉症や乾燥対策が必須な季節でもあります。
乾燥やお肌の悩みで皮膚科を受診される飼い主さまも多いのではないでしょうか。

今回は、鳥さんの「羽毛障害行動(FDB)」についてお話します。
FDBとは、Feather Damaging Behaviorの略で、自分の毛を抜いたり咬みちぎってしまう自傷行為の、毛引きや羽咬症のことです。
羽に留まらず、自分の体を傷つける「自咬症」に発展する危険性があります。

羽毛を抜く場所は、胸腹部、羽下、脚部、尾部などが主で、頭部を残してすべての羽を抜いてしまうこともあります。
小鳥さんでは、ラブバラードさん、セキセイインコさん、オカメインコさんなどに多くみられます。

毛引きや羽咬症の原因は、①生理的なこと、②精神的なこと、③炎症、などが考えられます。

①生理的な要因は、毛づくろいや、女の子が卵を温めるためにお腹の毛を抜く発情行動などが該当します。
一時的なもので、治療が必要ないことがほとんどですが、病的な毛引きの引き金となるケースもあります。

②精神的な要因は、環境や性格、遺伝など毛引きを起こしやすい小鳥さんが、何か、きっかけとする出来事があると発症することが多く、はっきりとした原因が特定できないことがほとんどです。
特に、おうちの小鳥さんたちは親鳥ではなく、人に挿し餌で育てられた子たちが多く、コミュニケーション能力や社会性に未発達なところがあったり、自立不足による分離不安など、野生の小鳥さんより毛引きを起こしやすいとされています。

毛引きを誘発するきっかけとしては、思いどおりにいかないときにイライラをぶつける代償行動、暇つぶし、寂しさ、抜羽することへの快感や達成感など様々です。
また、栄養不足や、日光浴不足や騒音、嫌いな人や小鳥さんが縄張りにいる、などの不適切な飼育環境のストレスも、きっかけとなることがあります。

③炎症は、皮膚、神経や内臓の病気により、かゆみや痛み、違和感が生じて毛引きを引き起こします。
例えば、脚の骨折や関節炎を気にしていじってしまったり、痛みを紛らわせるために、反対の脚の毛引きをすることがあります。
基礎疾患の治療することで改善するケースもあります。

毛引きや羽咬は複雑な因子により発症することが多く、①〜③に必ずしも当てはまらないケースもあります。

当院では、「FDB外来」という、おうちの小鳥さんの毛引きや羽咬症の原因を飼い主さまと一緒に考え、1つずつ解決策を模索していく治療を行っております。
飼い主さまには事前に、小鳥さんの生活環境や性格など、50問程度の問診票のご記載をお願いしております。
場合によっては、向精神薬などのお薬や、嘴の整形、マフラーやカラーなどの装置を行うこともあります。
FDB外来の目的は、毛引きや羽咬を完全になくすことではなく、自咬症に発展するのを防ぐことです。
自咬症は、非常に危険な問題行動で、損傷した皮膚から感染して敗血症を起こしたり、大量出血で亡くなってしまうことがあります。

FDBの治療は長期に及ぶことが多く、飼い主さまには根気強く小鳥さんに向き合うことが求められます。
当院では、小鳥さんの問題解決だけでなく、飼い主さまのメンタルケアにも力を入れております。

おうちの小鳥さんが、羽を抜いている、問題行動をしている、など、ご不安なことがございましたらご相談ください。

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